2017年10月23日 (月)

女湯て羽衣ほとに下女嘆き

女湯て羽衣ほとに下女嘆き

湯屋で着物を盗まれた下女。
羽衣伝説の羽衣を盗まれて空へ帰れなくなった天女ほど嘆くと。   

  

現金にかけを賣ルのハ夜鷹そは

「夜鷹そば」は、いわゆる夜なきそば。
「かけ」には、かけ売り、すなわち支払いを後でする約束の売買の意もあります。
現金払いで「かけ」そばを売るとはと。   

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2017年10月21日 (土)

卯月八日を娘へも母張る氣

卯月八日を娘へも母張る氣

旧暦四月八日、虫除けの歌(千早振る云々)のまじない札を雪隠の壁に逆さまに張る習慣がありました。
母親としては年頃になった娘にも虫除け札を貼りたいと。   

  

摺子木は我物てする粒山桝

「粒山桝」(つぶさんしょ)は山椒の実のことでしょうか。
山椒の木材は擂粉木にするそうです。
自分で自分を擦ると。   

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2017年10月19日 (木)

傾城の小指て藏へ穴を明ケ

傾城の小指て藏へ穴を明ケ

花魁が小指を切って誠意を示せば、のぼせた放蕩息子は家の蔵の中身に手をつけます。
花魁のやさしい小指で堅固な蔵に穴が開くと。   

  

清書の珊瑚珠に成ル黒ん坊

「清書」は、きよがき。
寺子屋で自分の顔が墨で真っ黒になるほどがんばって書いた浄書。
師匠様の朱筆の赤い丸がつくと。   

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2017年10月17日 (火)

花の山と書て小便よみかへり

花の山と書て小便よみかへり

佐々木文山という書家が吉原に登楼したとき、楼主に春の山に桜の花を書いた金襖に揮毫を求められ「此處小便無用」と書いたので一座が白けてしまいました。
しかし、同席した其角が「花の山」と書き添えて、「此處小便無用花の山」という句となって収まったという話を詠んでいます。   

  

福嶋がだゝは伊奈ともいゝかねる

伊奈昭綱(図書)は家康の家臣。
福島正則が送った使者が関を通過できず戻って自害したため、正則は家康にしつこく要求して関の責任者の昭綱を切腹させました。
伊奈と否(いな)の洒落。   

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2017年10月15日 (日)

御主様ふると北条つけのほせ

御主様ふると北条つけのほせ

「御主」(おしゅう)は、御主君。(日本国語大辞典)
「ふると」は、ぶると。
「つけのぼせ」は、商家で雇人を解雇して上方へ帰すこと。(日本国語大辞典)
鎌倉幕府の執権北条氏。
本来は家来なのにしだいに主君のように振舞って滅亡したと。   

  

せんへい屋口を明して舌をぬき

この句わかりませんでした。
   せんべいやはさミ細工もちつとする 筥四・9
という類句があるので、煎餅を作る工程で何か切るような作業があるのでしょうか。
この句は宿題です。   

  

筋隈の魚髭撫て作らせる

「筋隈」(すじぐま)は、初世市川団十郎が創始した歌舞伎化粧の隈取りの一つ。暫の主役など。
「髭を撫でる」は、得意な様子をすること。
「つくる」は、料理する意。
「筋隈の魚」は初鰹でしょうか。鰹は腹側に黒い縞模様があります。
得意げに高い初鰹を魚屋に料理させる男を詠んだのでしょう。
  筋隈の魚ァヽつかも無ィ直段 三三・15   

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2017年10月13日 (金)

いつ迄も直のしれて居ル火打石

いつ迄も直のしれて居ル火打石

「直」は、値(ね)。
火打ち石は石英の一種で、火打ち金と打ち合わせて火をおこします。だんだん丸くなります。
特殊なものですが所詮は石なので、高いものではないということでしょうか。
あるいは毎日金と打ち合わせていても高くはならんということでしょうか。
ちょっとすっきりしませんが。
   火打石金を遣つて丸くなり 梅一八・5   

  

初會から馬鹿らしいねとちく生め

吉原の花魁は最初の登楼の初会ではまったく客に愛想をせず、裏を経て三会目になって客らしくあつかわれます。
初会からもてることを期待した客はすげなくされて腹をたてると。   

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2017年10月11日 (水)

神代の物入瓶を八ッ買ィ

柳多留五二篇11丁

神代の物入瓶を八ッ買ィ

「物入」(ものいり)は、費用のかかること。(日本国語大辞典)
ヤマタノオロチ退治のためとはいえ大瓶を八つ準備するとは物入な話だと。
古事記や日本書紀では桶や樽のようですが、まあ作者たちにはそのへんは許容範囲なのでしょう。   

  

豆腐屋と酒屋へ三里郭公

ホトトギスの啼く風流な地だが、それを楽しむための豆腐屋にも酒屋にも三里という山の中だと。   

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2017年10月 9日 (月)

むらさきも菰も着よふか好キな所

むらさきも菰も着よふか好キな所

千両ためて検校になって紫衣を着るのも、一文なしで菰をかぶって乞食をするのも、この江戸では本人次第だと。   

  

愁嘆かはづれ泣くのは金主也

「愁嘆」は「愁嘆場」(芝居で登場人物が嘆き悲しむ場面)の略。
「金主」(きんしゅ)は、芝居などの興行主に資金を出す人。(日本国語大辞典)
芝居が不評で客が泣くべき場面も盛り上がらない。
泣くのは金を出した金主のみ。   

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2017年10月 7日 (土)

結目に名を殘したる帶曲輪

結目に名を殘したる帶曲輪

この句わかりませんでした。
「結目」は、むすびめ。
「帶曲輪」(おびぐるわ)は、城の本丸と二の丸などの間を交通できるように設けた曲輪。(日本国語大辞典より)
「帶曲輪」が何かの結び目の固有名詞なのでしょうが、確認できませんでした。
この句は宿題です。   

  

掛鯛ハ頭巾を尻へかふる也

「掛鯛」は、正月に二尾の小鯛の腹を藁で結び竈の上や門松に掛けます。
包尾の鯛(つつみおのたい)ともいいます。
確認できませんでしたが、「紙にて尾を包む」とのことです。(「川柳年中行事」)
そのことを詠んでいるのでしょう。   

  

金銀は山山入の帳と書キ

正月の吉日(十日や十一日)に商家では「帳綴」といって、出入帳(出納帳)を綴じます。
縁起をかついで、表紙の「出入」の文字をわざと「山山入」と書くというのでしょう。   

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2017年10月 5日 (木)

茗荷賣錢をわすれて笑れる

よこれない餅ハ五軒の子か貰

   8丁既出句

茗荷賣錢をわすれて笑れる

茗荷を多く食べると物忘れするといいます。
代金をもらい忘れて。   

  

早乙女はおやまじやさかい美しひ

「お山」は、上方で遊女の異称。(日本国語大辞典より)
旧暦五月二十八日の大坂住吉大社御田植祭では堺乳守遊郭の遊女が田植をしました。
早乙女は遊女だから美しいというのですが、関西弁にして、堺(さかい)の洒落になっています。   

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2017年10月 3日 (火)

是も縁道潅山て雨にぬれ

是も縁道潅山て雨にぬれ

日暮里の道灌山は虫聞の名所で、土器投げもありました。太田道灌の出城址といいます。
太田道灌はにわか雨に遭い蓑を借りようと入った家で若い女に山吹の花を差し出されましたが、それが蓑はないという意味で、その鍵となる山吹の古歌を知らなかったため無学を恥じ歌道に励みます。
「七重八重花は咲けども山吹の実の(蓑)一つだになきぞ悲しき」
道灌山に虫聞か何かで訪れて、にわか雨に濡れたのも太田道灌の縁だと。   

  

伊勢縞を着切て暖簾地を貰

「伊勢縞」は、松坂あたりで産する縞もめんで、商家の使用人の仕着せに用いました。(日本国語大辞典)
商家に丁稚奉公に入り、長年苦労して丁稚を終え、手代・番頭を経てついに暖簾分けをして貰ったと。   

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2017年10月 1日 (日)

おたやかさ鉄炮の音てひつくりし

おたやかさ鉄炮の音てひつくりし

「おだやかさ」は、類句から、世の中が平穏無事なさまをいいます。
太平の世では鉄砲の音にもびっくりすると。
四月におこなわれた鉄砲稽古始でしょうか。 
   鉄砲の間へ一ト声ほとゝきす 五・13
鉄砲洲は幕府の鉄砲試射地だったのでそこからの音かもしれません。   

  

四日とハ天氣も持たぬ皐月雨

「皐月雨」(さつきあめ)は梅雨。
愛宕百韻の明智光秀の発句「時は今雨が下しる五月哉」に関連した句。
三日天下と同じで、梅雨時の晴天も四日はもたないと。   

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2017年9月29日 (金)

御愛樹を菅公梅と世に唱へ

御愛樹を菅公梅と世に唱へ

左遷された菅原道真の愛樹は飛んで配所の筑紫安楽寺の庭に至ったといいます。
「菅公梅」は「寒紅梅」(梅の品種)の洒落です。   

  

松島は目の閙しい所也

「閙しい」は、いそがしい。
たくさんの島があって名所がいっぱい。   

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2017年9月27日 (水)

水に迄道ある御代のありかたさ

柳多留五二篇10丁

八雲たつ迄ハ氣侭な和哥の道

   8丁既出句

水に迄道ある御代のありかたさ

ここでいう「水道」は、玉川上水や神田上水のことです。
水のように生命のないものにまで「道」(人の進むあり方)があるとは、尭舜の聖代のように有難い御代ではないかと。   

  

白水の流れる所へ鯛か寄リ

「白水」(しろみず)は、米のとぎ汁。(日本国語大辞典)
白と水で「泉」、とくに藤堂和泉守の意でも使われます。
白水の類句で、餅つき関連の句があります。
   棟上式金かりに白水またぎ く 行 一五・8
      歳末の餅つきと借金の工面
   白水を飛 く 破魔矢持て来る 露丸明三貞1
      棟上式で餅まき
めでたいことがあって餅をつく家に鯛の進物も来るということでしょうか。   

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2017年9月25日 (月)

日本か集ると伊弉冊言初メ

日本か集ると伊弉冊言初メ

「伊弉冊」は、いざなみ。
イザナギとイザナミの二柱の神は鶺鴒から夫婦の道を教わり日本の国を産みます。
「日本が(ひととこに)寄る」というのは、古川柳では女性の絶頂の表現のようです。
   日本がとハ大それたよかりよふ 明六智4
   日本がひとゝこへよる喜美の代さ 九七・39
そのことと、二柱の神が日本国を産んだことを掛けています。
   二タ柱日本国をよせはじめ 一〇六・32   

  

叡覧も恐れす娵ハよがり出し

この句わかりませんでした。
「叡覧」(えいらん)は、天子が御覧になること。(日本国語大辞典)
バレ句ではあります。
雛祭りかとも思いましたが、必然性がありません。
この句は宿題です。   

  

御祭リに泣くハ機嫌の能ィの也

子供を詠んだ句ではなく、女房を詠んだ句です。
「御祭(を渡す)」は、男女が交合すること。(日本国語大辞典)
泣いても機嫌が悪いのではないと。   

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2017年9月23日 (土)

二日の夜波のり船の音をさせ

二日の夜波のり船の音をさせ

正月二日良い初夢を見るために七福神の宝船の絵を枕に敷いて寝ます。
そこには「なかきよのとおのねふりのみなめさめなみのりふねのおとのよきかな」という回文が記されています。
また、正月二日は「姫はじめ」といって、その年初めて夫婦男女が交合する日(日本国語大辞典)ということになっています。
というわけで船をこぐ音もすると。   

  

御開帳下女御戸張に觀世音

「御戸張」(みとちょう)は、神仏の厨子の中などに垂れる小さな帳(とばり)。また、腰巻・ふんどしの類。(日本国語大辞典)
「観世音」は「観音」で、女陰の意。(日本国語大辞典)
下女の腰巻のご開帳を詠んだバレ句でしょう。   

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2017年9月21日 (木)

梅若の四十九日ハかしハ餅

梅若の四十九日ハかしハ餅

陰暦三月十五日は梅若忌(梅柳山木母寺大念仏)です。
梅若の四十九日の法要は陰暦五月五日の端午の節句の頃になります。
すると四十九日のぼた餅ではなく男の子にふさわしい柏餅になるだろうと。   

  

海士よ玉よハ龍宮の合ことば

藤原鎌足(大職冠)は志度の海士と契り、海士は乳の下を切って竜宮から竜王に奪われた玉を隠し持ち帰りました。
その後竜宮では警備を厳重にして合言葉を作ったであろうと。
仮名手本忠臣蔵十段目で「天河屋」から、討ち入りの合言葉を「天」「河」としたのを利かせています。   

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2017年9月19日 (火)

豆腐やに目高をねだるくわんぜなさ

豆腐やに目高をねだるくわんぜなさ

「がんぜない」は、無邪気である意。(日本国語大辞典)
天秤から盥をさげた豆腐売りを金魚売りと勘違いして、幼い子供がメダカをねだるのでしょう。   

  

安ィ茶屋いぶい火箸を附ケて出し

「茶屋」は、客に飲食・遊興させることを業とする家。(日本国語大辞典)
呼んだ芸者の一切れの営業時間をはかるのに、線香を立てるをけちって、火のついた割箸を立てる下流の茶屋というのでしょう。
ちゃんとした茶屋ではなく、茶屋女が副業で売春をしているような怪しい茶屋なのかもしれませんが。   

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2017年9月17日 (日)

千金の上端駿河の弐丁町

千金の上端駿河の弐丁町

「上端」(うわは)は、端数、とくに金額のはした。(日本国語大辞典)
「二丁町遊郭」は駿府にあった幕府公認の遊郭で、七丁のうち五丁が吉原へ移ったことから二丁町というそうです。
一晩に千金の金が落ちる江戸吉原の端数だというのでしょう。   

  

其歳を一字に直し餅を搗キ

「米の守り」といって、八十八の米寿に自筆で米や寿などの字を書いた丸餅を配ります。
八十八歳を米の一字にした餅だと。   

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2017年9月15日 (金)

火をもつてこたつへ水をさしに來ル

火をもつてこたつへ水をさしに來ル

炬燵で色事の最中に火を足しにお邪魔虫が来た。
火で水をさすとはと。   

  

大門へ弥陀三尊の客迎へ

「弥陀三尊」は、禿を脇侍に従え、簪が後光という花魁の姿。
ただ、花魁の弥陀の来迎といっても大門へまでは迎えに来ないと思うので、ちょっとすっきりしません。   

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