2017年8月20日 (日)

物さしを隱し心の丈ケを見る

物さしを隱し心の丈ケを見る

男が針仕事をしている娘の物差しを隠して会話のきっかけをつくろうとしているのでしょう。
物差しで恋の脈の有無を測ろうと。   

  

其客が來て三ひろほど反古にする

「尋」(ひろ)は、成人男子が両手を左右に広げた指先間の長さで、四尺五寸ないし六尺くらい。
紋日前の花魁の三尋もある長い客への催促の文。
そのお客が来てくれたので出さないで済んだと。   

  

居候拳ンをおしへてしかられる

居候先の子供に拳の遊びを教える居候。
放蕩息子だったのでしょう。
そういう遊びをする遊里にはまって勘当されて今の境遇なのに。   

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2017年8月18日 (金)

錦を着し夜ル行が息子好キ

錦を着し夜ル行が息子好キ

「衣錦夜行」(いきんやこう)は、出世しても故郷の人々に知られなくては甲斐がないこと。(史記・項羽本紀)
道楽息子は文字通り夜に錦を来て吉原へ行くと。   

  

大一座燒香順にのんでさし

葬式帰りの団体客が吉原登楼。
葬式の焼香順にお酌にまわると。   

  

馬の屁に四五人こまる渡し舟

渡し舟に人も馬も一緒に乗っていて。
馬が屁をしても逃げ場所なし。   

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2017年8月16日 (水)

土砂の入るほどにお袋のりを付

土砂の入るほどにお袋のりを付

「入る」は。要る。
真言で加持した土砂をふりかけると死後硬直を和らげるといいます。
母親が糊をした着物が固くて。その土砂がいるほどだと。   

  

飛魚は羽根の有ルたけ先へ來る

飛魚は初夏から初秋の魚で、類句からみると初鰹と同じ頃から出るようです。
   鳴て行下で飛魚いせ屋かひ 二五・32
   待鳥も啼て飛魚はつ鰹 五万才一・8ウ
   誰一人初飛魚と言人なし ケイ一四・37
   松魚見て居て乳母ハ飛魚 ケイ一八・58
飛魚は初鰹よりほんの少しだけ早く出まわるということなのでしょうか。   

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2017年8月14日 (月)

智惠のなさ四月ひらめのさしみ也

智惠のなさ四月ひらめのさしみ也

江戸っ子としては、陰暦四月に刺身を出すのなら初鰹でなくてはいけないと。   

  

金持と見くびつて行初松魚

「初松魚」は、はつがつお。
金持ちは吝嗇に決まっているので、高い初鰹を買うなんてことはありえない。
初鰹を売り歩く魚屋も通りすぎると。   

  

くら替をしても馴染ハ乗リに來る

「鞍替」は、遊女や芸者などが他の遊女屋または遊里に勤めの場所をかえること。(日本国語大辞典)
遊女が見世を変えても本当の馴染み客は来てくれると。
鞍と乗るは縁語。   

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2017年8月12日 (土)

腹を切かけてけんくわを見物し

腹を切かけてけんくわを見物し

忠臣蔵の芝居で勘平が切腹しようという場面。
その最中に観客同士が喧嘩を始めて大騒ぎ。
役者もあきれて演技を止めて見物していると。   

柳多留五二篇7丁

  

 おてんばの尻へさわつてはねられる

「おてんば」は、つつしみやはじらいに乏しく活発に動きまわる女性。(日本国語大辞典)
「はねる」は、はねのける意。(日本国語大辞典)
そのまんまの句ででしょう。   

  

うぬ惚は三たび我身をかへり見る

   3丁既出句   

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2017年8月10日 (木)

麁しゐをくらい水を呑二日醉

四國迄舩ちんなしに酒をつみ

   4丁既出句   

  

麁しゐをくらい水を呑二日醉

「麁しゐ」は、疎食(そしい)。 粗末な食物。(日本国語大辞典)
「飯疏食飮水、曲肱而枕之、樂亦在其中矣」疏食を飯(くら)い水を飲み、肱を曲げてこれを枕とす。楽しみ亦た其の中に在り。(論語)
この文句取り。
二日酔いであまり食べれず水を飲んでいると。   

  

漬物屋羅漢のやうに肌をぬぎ

肌脱ぎで仕事をしている漬物屋が五百羅漢みたいだという、それだけでしょうか。   

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2017年8月 8日 (火)

目と顋に釣合のある聾同士

目と顋に釣合のある聾同士

この句わかりませんでした。
「顋」は、あご。
表情や口の動きで会話するということでしょうか。
この句は宿題です。   

  

朝歸りかふへをたれておもふやう

吉原からの朝帰りで親父に説教される道楽息子。
頭を下げて大人しく聞いているようで、心の中では舌を出していると。   

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2017年8月 6日 (日)

漆をも塗てかためて忠臣さ

漆をも塗てかためて忠臣さ

春秋戦国時代の予譲は主の仇の趙襄子をつけねらい、変装のために顔や体に漆を塗ったり炭を飲んで喉を潰したりします。ある橋のたもとに待ち伏せて暗殺しようとしますが果たせず、趙襄子の衣を斬って仇を討ったことにして自決します。
この故事を詠んでいます。   

  

禪僧の相方晝は目が見へす

この句わかりませんでした。
フクロウか何かでしょうか?
この句は宿題です。   

  

仲の町きれゐに袖へすがる所コ

   3丁既出句   

  

さゝのんだ狂女も見へるすみだ川

   4丁既出句   

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2017年8月 4日 (金)

仲の町たへて櫻のなかりせば

仲の町たへて櫻のなかりせば

「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」(在原業平)の文句取り。
吉原仲の町の名物夜桜がなければ、吉原へこんなに足繁く通わないだろうにと。   

  

弾正か釜を信長取る氣也

「弾正」は松永弾正(久秀)。
織田軍の信貴山城攻撃で松永弾正は信長が臨む平蜘蛛の茶釜を叩き割って城に火をかけ自害しました。
おそらく男色もほのめかしているのでしょう。   

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2017年8月 2日 (水)

土手へ舩着て候おもしろさ

土手へ舩着て候おもしろさ

「舩」は、船。
「土手」は土手八丁ともいい日本堤のこと。吉原へ続く土手です。
「おもしろさ」の類句は色っぽい内容の句も多いです。
猪牙舟が隅田川から吉原への上陸点である山谷堀に曲がって日本堤に着いたと。
ここから歩いて面白い吉原へ。
「着いて候」あるいは「程なく舩ハ着て候」とかで謡曲などの文句取りになっていると思われますが、特定できず。
この句は宿題です。   

  

姦計て本腹の子を蜂はらい

この句わかりませんでした。
「本腹」(ほんばら)は、本妻の腹に生まれること。(日本国語大辞典)
詠史句とおもわれますが「蜂」が誰を示すのか不明。
この句は宿題です。   

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2017年8月 1日 (火)

大軍を喰ひ留たのハおしなとの

大軍を喰ひ留たのハおしなとの

「食い留める」(くいとめる)は、さえぎりとめる意。(日本国語大辞典)
「おしな」は、江戸へ出稼ぎに来た信濃の人。古川柳では大食いなのがお約束。
この句でいう「おしな殿」は真田昌幸。
真田昌幸は上田城で徳川軍を撃退しました。(上田合戦) 
真田が徳川をくいとめたことと信濃から出稼ぎに来た人が大飯を食い切ったことを掛けています。   

  

しまた金谷に大名のろくろ首

大井川の川止めを詠んでいます。
増水で川が渡れず、両岸の島田宿や金谷宿で大名行列が止められています。
お大名も首を長くして川が開くのを待っています。   

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2017年7月30日 (日)

差かゝり止ム事を得す無心也

差かゝり止ム事を得す無心也

「さしかかる」は、その場に臨む、さしせまる意。(日本国語大辞典)
「無心」は、遠慮なく金品などをねだること。(日本国語大辞典)
仲間で吉原行きのための工面でしょうか。年末の支払いのための借金でしょうか。   

柳多留五二篇6丁

  

蚊屋賣は声も一ト張リはつて呼

   4丁既出句。   

  

今時は耳を洗ッて聞べきに

許由は堯が位を譲ろうというのを聞いてそれを忌み耳を洗ったといいます。
今時の人はすぐ飛びつくだろうと。   

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2017年7月26日 (水)

御座敷へ散るはきのふの下屋敷

御座敷へ散るはきのふの下屋敷

「下屋敷」はお大名の別邸です。
下屋敷の類句には郊外で自然が多いことを詠んだ句が多くあります。
   下やしきたゝみやの来る花じぶん 天三追善
という類句もあるので、花見に殿様が訪れた翌日の句でしょうか。   

  

朝起は家を寐かさぬ心かけ

早起きは家を傾かせないために大切な心がけだと。
起きると寝るは縁語です。   

  

國家老高をくゝつて申上ケ

国家老は実直で殿様や江戸屋敷の贅沢を戒めます。
「高をくくる」は、その程度だろうと予測する、高がしれていると見くびる意。(日本国語大辞典)
御妾に入れ込む殿様を説教するにあたり、殿様の甘い考えなど知れているということでしょうか。     

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2017年7月22日 (土)

御大禄陸尺迄が京間也

御大禄陸尺迄が京間也

この句よくわかりませんでした。
「御大禄」というので、どこかの大藩のことを詠んでいます。
「陸尺」(六尺)は、駕籠かきや賄方、掃除夫など雑役人の総称です。ここでは駕籠かきと思われます。
「京間」は、柱間を六尺五寸に取り一間とするもの。普通より広いこともいいます。(日本国語大辞典より)
対する「田舎間」(関東東北東海など)はこれが六尺なのを利かしています。
あまり豊かではない駕籠かきまで大きな間取りに住む豊かな藩ということでしょう。
ただ、具体的にどの藩かわからず、この句は宿題です。   

  

武士ハ書くも舎るも櫻也

「武士」は、もののふ。
「舎る」は、やどる。
児島高徳は後醍醐天皇仮御所の庭の桜を削って十字の詩(「天勾践を・・」)を書きました。
また、平忠度は一ノ谷で討死した時箙に歌「行くれて木の下かげを宿とせば花やこよひの主ならまし」の短冊をつけていました。
これらのことを詠んでいます。   

  

日月の雲僧正の名にたゝり

徒然草第一四六段の句。
明雲座主は人相見に兵杖の難があるか訊いてそのとおり矢に当って亡くなりました。
「日月の雲」は明雲。
「名にたたり」というのが、ちょっとすっきりしませんが。   

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2017年7月20日 (木)

日に三箱喰たり見たりしたり也

日に三箱喰たり見たりしたり也

江戸で毎日千両の金が落ちる場所が三箇所。
魚河岸、芝居町、そして吉原。   

  

内外トの櫻ハ八重の御要害

江戸城を詠んでいます。
内桜田門(桔梗門)と外桜田門。
   御太鞁で内外の櫻ひらく也 四七・3   

  

瑠璃色もさだかに見へぬ花曇

「花曇」は、桜の咲く四月頃の曇の天気。(日本国語大辞典)
花見の名所寛永寺の朱塗りの中堂「瑠璃殿」もかすんでいると。   

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2017年7月18日 (火)

大屋さまふへて悦ふたなつ尻

大屋さまふへて悦ふたなつ尻

「たなっちり」(棚尻)(「たなしり」の変化)は、突き出た形の尻。(日本国語大辞典)
長屋の惣後架に溜まったものは近郷のお百姓に肥料として売って大屋の収入になりました。
店子が増えれば売るものも増えて大屋さんは大喜びと。
「店子の尻」の洒落でしょうか。   

  

何くわぬ顔ておなかをふくらかし

娘が素知らぬ顔で妊娠したと。   

  

 物置の土間て割こむ下女が色

   (2丁既出句)   

  

とんだ蛸足が六本不足なり

「蛸」は、吸盤のように吸引力の豊かな女陰の称。(江戸語の辞典)
二本足の。   

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2017年7月16日 (日)

酒菰だるは土間にある水仕合

柳多留五二篇5丁

酒菰だるは土間にある水仕合

この句わかりませんでした。
「薦樽」(こもだる)は、酒などがはいっている薦包みの樽。(日本国語大辞典)
「水仕合」(みずしあい)は、演劇で俳優が水を浴びまたは水中で戦うこと。(日本国語大辞典)
句の意味が不明です。
この句は宿題です。   

  

さあそこが渡りやすホィけちなやつ

この句もよくわかりません。
「けち」は、どうでもいいことにこだわること(日本国語大辞典)でしょうか。
水たまりでも飛び越そうという時の軽口でしょうか。
この句も宿題です。   

  

金箔のやうに狸ハのばす也

狸の金玉八畳敷。   

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2017年7月14日 (金)

薮醫者に冨貴さづける風の神

薮醫者に冨貴さづける風の神

風邪が流行ったおかげで藪医者にも患者が来て儲かったと。   

  

五ッはられてさいかちの髪が出來

   (2丁既出句)   

  

女房の疱瘡抱らふにハこまり

この句わかりませんでした。
「疱瘡」は天然痘ですが、「抱かろう」がわかりません。類句もなく不明です。
この句は宿題です。   

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2017年7月11日 (火)

さゝ呑んた狂女も見へる隅田川

さゝ呑んた狂女も見へる隅田川

能楽では狂い笹といって狂女は笹を持っています。その代表が「隅田川」。
また、「ささ」は酒をいう女房詞です。(日本国語大辞典)
状況が不明ですが、隅田川岸の花見で酔っ払った女の人でしょうか。
あるいは酔った勢いで亭主がしけ込む吉原へ女房が文句をいいに行こうというのでしょうか。
ちょっとすっきりしません。   

  

僧化して医者月令にいまた見す

「月令」は、月々の風物、年中行事。(日本国語大辞典)
坊さんが医者に変装して登楼するのが、例えば「僧化医者」として、
七十二候の「腐草為螢」(くされたるくさほたるとなる)とか「菜虫化蝶」(なむしちょうとなる)みたいに「月令」にまだ載ってないと。   

 

削る字の跡へ其文字書く才智

   (1丁既出句)   

  

極樂な娵は姑が地藏也

楽している嫁さんは姑が優しいと。   

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2017年7月 9日 (日)

四國迄舟賃なしに酒を積

四國迄舟賃なしに酒を積

「流し樽」は、酒や賽銭を酒樽に入れ金毘羅権現に祈願する木札や幟をつけて海に投げ込むと、四国に流れ着き、それを拾った者が四国の金比羅さんに代参して届けるという風習。
そのことを詠んでいます。   

  

もろ〳〵の鼻毛あつまる神子の皃

「神子」は、みこ。「皃」は、顔。
美人神楽巫女が江戸の男達の人気を集めた時期がありました。
明和六年三月湯島天神で振袖の上に千早を着たおなみとおはつという二人の美人の神楽巫女を出したところ大評判となり、他の神社でも追随したのです。
美人神楽巫女に鼻毛を伸ばした(女の色香に迷った)男連中が神社の神楽堂に集まったろうと。   

  

鳥飼は壹文見世と下女おもひ

「鳥飼」は薬種商ばかりの日本橋本町三丁目にあった老舗の饅頭屋鳥飼和泉。
下女がそれを「取替兵衛」(とっかえべえ)という一文二文の古金属を飴と交換する行商の飴売りと間違えたと。
古川柳では下女は知識が足りずいろいろ勘違いをするというのがお約束です。   

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